国土交通省やNEXCOから、そしてエヌ・ビー・シー協同組合からも過積載の防止について再三アナウンスしているにも関わらず、一向に車両制限令違反は収まっていないのが現状です。
なぜ収まらないのでしょう。
そしていったい、誰に責任があるのでしょう。
01 絶対やめよう過積載
「過積載」とは、車両に規定された積載重量の上限を超えて貨物を運ぶ行為のことをいいます。
安全や車の性能に基づいて決められている上限を無視して荷物を運ぶわけですから、様々な危険やリスクを伴います。
車軸などへの過度な負担により車両自体の寿命を縮めてしまい、車両コストの増大や燃費の低下につながります。
また、車体重量が過度に大きい車両が通行することで道路の損傷も激しくなり、環境問題にもなっています。
加えて過度な積載によりバランスを崩したトラックの転倒事故や、制動力が極度に低下した大型トラックによる追突事故など、悲惨な重大事故の原因にもなっています。
02 過積載の責任は誰?
過積載は車両制限令違反ですので、厳しい罰則が定められています。
では過積載の罰則は誰が受けるのでしょうか?
トラック事業者?ドライバー?それとも荷主?
実は、3者それぞれに罰則規定があります。
02-01 罰則その1~トラック事業者
トラック事業者に対しては、車両の使用停止命令や、悪質違反者の場合は事業の停止処分がくだされます。
また、ETCコーポレートカードを保有している場合は、車両制限令の違反点も累積されていき、大口多頻度割引を受けられなくなってしまいます。
02-02 罰則その2~トラックドライバー
ドライバーには、最大で違反点6点(免許停止!)、6か月以下の懲役または10万円以下の罰則が科せられます。
また、最大積載量の2倍を超えていた場合は即時告発となり、その場合は100万円以下の罰金刑となります。
02-03 罰則その3~荷主
荷主に対しては再発防止命令が勧告されます。
さらに、無理な発注条件の提示や過積載に対する荷主の主体的な関与が認められた場合は、荷主名が公表されます。
02-04 一番立場が弱いのは・・・
いかがでしょうか。
トラック事業者は荷主から仕事をもらっている立場です。
荷主にこの条件で運んでくれないなら他を探すよ、なんて言われたら受けざるえない場合も大いにあると思います。
ドライバーさんもまたしかり。
会社に言われると仕事だから運転するしかないですよね。
・・・なんだかバランスが悪いような気がしますね。
03 その時、国土交通省が動いた・・!
そんな中、ついに国土交通省が動きました。
2018年12月に公布された改正貨物自動車運送事業法では、荷主勧告制度を強化するとともに、荷主に対してトラック事業者の違反原因に繋がる行為を改善するよう、依頼や要請ができるようになりました。
そして、トラック事業者やドライバーが違反原因行為を行う荷主についての情報などを投稿できる、通称“目安箱”を国交省ホームページ上に設置したのです。
03-01 寄せられたご意見ご要望の数々
窓口に寄せられる情報は1年間で100件以上あり、荷主による過度な要求がおこなわれている現状をあらわしています。
募集の窓口には以下のような投稿がありました。
【寄せられた投稿内容】
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恒常的な長時間の荷待ち、拘束時間超過、過積載運転の要求、無理な配送依頼、依頼になかった付帯業務、異常気象時の運行強要、など
これに対し、国土交通省から出された配慮依頼により、以下のような改善が見られたそうです。
【配慮依頼後の改善の取り組み】
≪長時間の荷待ち≫
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車両が到着してから積み込み、出車までの時間を管理。待機時間が長くなると警報がなるようなシステム構築をおこなった。
≪拘束時間の超過≫
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倉庫内のレイアウトを変更し、荷主側の荷役作業員を増員。
≪過積載運転の要求≫
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積載物の確認方法を変更。カゴの台数の計数だけでなく、重量計測も実施。
≪依頼になかった付帯業務≫
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待機にかかる料金項目を明確にし、荷主側の荷役作業員も増員。
04 まとめ
車両制限令の違反は、責任の所在をひとつにしぼることは難しいことですが、立場の強弱から導き出した国土交通省の試みは、一定の効果をあげそうです。
とはいえ、過積載の防止にはトラック事業者とトラックドライバーの協力が不可欠です。
ルールを守って、安全運転を心がけください。