高速道路の長距離ドライブ中、集中力が切れて無意識で運転してしまったり、長時間の運転の疲れから突然睡魔に襲われたり・・・といった経験はありませんか?
一般道であればある程度自由に休憩がとれますが、高速道路上だと休憩できるのはPAやSAに限定されますので、次のPAやSAまで距離がある場合、すぐには休憩がとれず大変な目にあった、そういうご経験のあるドライバーの方も多いのではないでしょうか。
そんなドライバーの悩みを解消しようと始まったのが高速道路の「賢い料金」制度です。今回は、高速道路の「賢い料金」制度をわかりやすくご説明していきます。
※「道の駅常総」が2023年4月28日にオープンしましたので、リンクを追加しました(一時退出には未対応)。
社会実験「賢い料金」
高速道路の一時退出を可能とする社会実験「賢い料金」は、2017年2月にはじまりました。
我が国の高速道路においては、休憩施設同士の間隔が概ね25km以上離れている空白区間が約100区間存在しています。高速道路ネットワークを賢く使う取組の一環として、休憩施設の不足に対応し、良好な運転環境を実現するため、全国3ヶ所の道の駅において、高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の試行を行うこととしました。 今後、空白区間を半減することを目指し、実施状況を踏まえて、追加選定を行う予定です。
国土交通省はこのようなプレスリリースをおこない、
- ・道の駅玉村宿(群馬県佐波郡)
- ・道の駅もっくる新城(愛知県新城市)
- ・道の駅ソレーネ周南(山口県周南市)
以上の3ヶ所の道の駅で開始されました。
「賢い料金」の具体的な内容
高速道路は、走行距離による料金とは別に、利用するごとに入場料(ターミナルチャージ)が発生します。
高速道路の出口近くにある道の駅に立ち寄る際にも、高速道路を退出する必要がありますので、再入場の際には改めて入場料が発生していました。
「賢い料金」でどのように変わったのでしょう。
料金そのままで利用可能
「賢い料金」制度では、指定された道の駅へ立ち寄るための途中退出の際は、再入場料金がかからずに利用することができます。
さらには、一定以上を連続して走行した場合の料金割引措置(長距離逓減)も継続してご利用できますので、高速料金の割引のことを意識せず立ち寄ることができ、長距離運転をおこなうドライバーの方にとって嬉しい制度といえます。
高速道路上の休息施設の距離が25キロ以上はなれている空白区間が約100ヶ所あるとされていますが、その代替としての道の駅の活用によって、高速道路沿線の活性化やドライバーの安心にもつながっていきます。
利用するにはいくつか条件
便利な「賢い料金」制度ですが、利用するにはいくつかの条件がありります。
条件その1:ETC2.0車載器搭載車
「賢い料金」を利用するには、ETC車載器がETC2.0である必要があります。
高速道路の入退出と道の駅への入場時にITSスポットを利用した通信がおこなわれますので、双方向通信が可能なETC2.0車載器搭載車のみが対象となります。
エヌ・ビー・シー協同組合では、組合員さま向けにETC2.0のセットアップをおこなっています。
セットアップの際はお気軽にご連絡ください。
条件その2:対象のICからの入退出
「賢い料金」を利用するには、対象とされているICからの入退出が必要です。
該当する道の駅へ立ち寄るからといって、指定されていないICから退出した場合は優遇措置が受けられませんのでご注意ください。
注意が必要なのは、再進入は「退出したときと同じ方向」ということです。
下り車線を走っていた場合は、再進入も下り車線ということになります。
「運転中の休憩施設として道の駅を利用する」というそもそもの意義を考えれば自然なことですが、注意が必要です。
条件その3:対象の道の駅への立ち寄り
対象のICから退出したあとは、対象の道の駅への立ち寄りが必要です。
「別の道の駅がいい!」と別の施設を利用しても優遇措置は受けられません。
「運転中の休憩施設として『SA、PAのように』道の駅を利用する」という趣旨からすれば当然かもしれませんが、注意が必要です。
条件その4:2時間以内の再進入
4つ目の条件として、高速道路を退出してから2時間以内の再進入が必要とされています。
2017年の開始当初、一時退出時間は1時間に限定されていましたが、利用者から「あまりにも短すぎる」という声が上がったことで、2020年に3時間に延長されました。
しかし検証の結果、
- 1、一時退出時に指定された施設の利用時間が短時間で、他の場所への立ち寄りが多くみられたこと
- 2、一時退出時に2時間以上の利用件数がさほど多くないこと
により、2022年7月1日から2時間に短縮されました。
「高速道路の走行中に休憩施設として道の駅を利用する」ことがそもそもの目的ですので、時間の短縮は仕方ないことかもしれません。
今後も利用状況により一時退出時間の変更があるかもしれませんので、その時は改めてお知らせいたします。
「賢い料金」制度の意義
冒頭に挙げたように、「賢い料金」は国土交通省による「高速道路上の休憩施設の空白地帯をなくす」という目的のもと始まりました。
長距離運転による注意散漫や居眠り運転による事故の防止が一番の目的ではありますが、もともとある道の駅の「さらなる活用」も理由のひとつかもしれません。
全国各地に1,209ヶ所ある道の駅(※2023年8月現在)は各市町村が構想を練って計画し整備しますが、管轄は国土交通省になります。
高速道路上に新たな施設を設置するより、高速道路のICに近い道の駅を利用する方が何かと利便性に長けています。
また、一般道からだけでなく、高速道路からの「寄り道スポット」として道の駅の利用が増えることは、地域の活性化にもつながります。
利用可能な道の駅一覧
それでは、現在利用可能な道の駅をみてみましょう(※2023年8月現在全国23ヶ所)。
東北エリア
関東エリア
北陸エリア
中部エリア
中部エリア | 道の駅 | 最寄りIC |
愛知県 | もっくる新城 | 新東名・新城IC |
近畿エリア
近畿エリア | 道の駅 | 最寄りIC |
滋賀県 | アグリの郷栗東 | 名神高速道・栗東IC |
兵庫県 | 丹波のおばあちゃんの里 | 舞鶴若狭道・春日IC |
中国エリア
四国エリア
九州エリア
今後対応予定の6か所
以下の道の駅は、設備が整い次第、一時退出に対応する予定です。
- ・道の駅「ふくしま」(福島県福島市)
- ・道の駅「常総」(茨城県常総市)
- ・道の駅「おけがわ(仮称)」(埼玉県桶川市)
- ・道の駅「ながおか花火館」(新潟県長岡市)
- ・道の駅「いたの」(徳島県板野郡)
- ・道の駅「都城」(宮崎県都城市)
まとめ
2017年に始まった、社会実験としての「賢い料金」制度ですが、幾度かの変遷を経て、現在では全国で23ヶ所設置され、利用時間も当初の1時間から3時間に延長されるなど、ユーザーにとって利用しやすいように改善されていっています。
開始当時、全国で100ヶ所あったといわれている休憩施設の空白地域も、今後どんどん埋まっていくことでしょう。
カラダにもお財布にも優しい「賢い料金」制度を賢く利用して、上手に経費削減していきましょう。
さらなる経費削減には、ETCコーポレートカードとガソリンカードが不可欠です。
ご用命の際はお気軽にお問い合わせください。
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