今回は、少し前から運送・物流業界で話題となっている「2024年問題」について徹底解説していきます。
「2024年問題ってなに?」という人は、ぜひ今回のコラムを読んでしっかり備えてください!
01 改めて「2024年問題」とは
「2024年問題」とは、働き方改革関連法によって施行された「時間外労働時間の上限規制」に関連する、特に物流業界にとって大きな課題となっている問題の総称です。
「時間外労働時間の上限規制」とは、長時間労働を規制するために、大企業は2019年から、中小企業は1年の猶予期間を経て2020年4月から施行されました。
猶予期間がさらに5年延長されたのが建設事業、医師、鹿児島・沖縄の砂糖製造業、そして自動車運転業種で、その猶予期間が終わるのが2024年3月31日なのです。
01-01 「時間外労働時間の上限規制」適用で変わること
2024年3月31日に迫った「時間外労働時間の上限規制」の猶予リミットですが、具体的に何が変わるのでしょうか。
運送・物流業界における「時間外労働時間の上限規制」の内容は他業種とは少し異なり、
特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間
となっています。
年間960時間であれば月間80時間。
他業種の年間720時間と比べるとかなり長い気もしますが、実態はどうなっているのでしょうか。
01-02 驚きの厚生労働省アンケート調査結果
運送・物流業界の現状を知るために行った厚生労働省のアンケート調査によると、回答のあった479社の1ヶ月の平均残業時間は88.3時間で、内訳を見ると80時間以上と回答しているのが187社と、約40%を占めていました。
また、平均残業時間を年間でみると886.4時間ですが、約35%を占める170社が平均残業時間を1000時間以上と回答していました。(厚生労働省:運送業における労働時間と働き方に関する調査)
2021年時点での全国の運送・物流業者数は58,123社(霊柩を除く)となっており、アンケート結果を単純にあてはめてみると、1ヶ月の平均残業時間を80時間超える企業数は23,249社、年間平均残業時間を1000時間以上超える企業数は20,343社にのぼることになります。
2024年4月の施行にむけて、多くの企業さまで改善をおこなっていく必要があることをご理解いただけますでしょうか。
02 それだけではない「2024年問題」
改善をおこなうべきなのは長時間労働だけではありません。
大企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月から「同一労働・同一賃金」、「時間外労働の割増賃金引上げ」が法改正により施行されました。
これは、正社員と非正規雇用労働者との賃金格差をつけてはいけないということと、月60時間以上の時間外労働に対しては、大企業は50%、中小企業は25%の割増賃金を支払わなくてはいけないというものです。
猶予期間中にあった中小企業も、2023年4月からは50%の割増賃金が適用となります。
2023年3月31日の割増賃金の猶予期間終了、そして2024年3月31日の時間外労働時間の上限規制に対する猶予期間終了が、いわゆる「2024年問題」の正体です。
この問題を乗り越えるためにも、業界全体で大きく変わっていかなければなりません。
03 「2024年問題」を乗り切るために
「2024年問題」を改めて掘り下げたことで、解決すべきは長時間労働と賃金であることがわかりました。
これらを解決するために考えるべきなのは、
これらになりそうです。
荷主との運賃交渉に関しては、相手のあることですし、交渉はそう簡単にはいかないかもしれません。
人材不足の解消も、運送・物流業界に限らず日本全体の問題になっていますので、いかに効率よく配車するか、いかに効率よく荷下ろしするかなどの方が改善の余地がありそうです。
経費削減に関しても、みなさま一様に頭を悩ませているところだと思います。
燃料代の高騰が著しい中、高速料金を浮かせるために時間をかけて下道をつかって目的地へ・・・。
しかし今後の「2024年問題」による時間外労働への規制や従業員への給料を考えると、高速道路を使ったうえでの経費削減を考えるべきではないでしょうか。
04 上手に使おう高速道路
「2024年問題」での労働時間問題を乗り切るためには、高速道路の利用が欠かせません。
そして、もうひとつの「2024年問題」である経費削減も両立させるにはETCコーポレートカードの利用が欠かせません。
ETCコーポレートカードを利用することで、通常のETCカードの2倍から3倍の割引が適用されます。
エヌ・ビー・シー協同組合には、これからETCコーポレートカードを発行しようという方や、ETC料金の見直しをお考えの方からのご相談が寄せられていますが、みなさまそれぞれに合ったご提案をさしあげており、ご満足いただける内容になっていると自負しています。
「2024年問題」を上手に乗り切るためにも、高速道路を上手につかっていきましょう。